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住まいのユニバーサルデザインについて
近年、私たちの身のまわりでも「ユニバーサルデザイン」という言葉を耳にする機会が増えてきました。時には商品だったり、時には施設だったり、「ユニバーサルデザイン」という言葉をさまざまな場所や場面で耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そもそも“ユニバーサル”という言葉には「普遍的な」あるいは「全体の」といった意味があり、「ユニバーサルデザイン」とはその言葉の通り「すべての人のためのデザイン」であることを意味し、国籍や人種、文化や言語の違い、老若男女といった差異、さらに障害の有無や能力の如何を問わずに利用することができるよう、施設や製品、情報など、都市やさまざまな生活環境をデザインすることを意味しています。そして、そういった考えは住まいにおいても広がりを見せ、製品や設備、仕様などで採用されはじめています。
そこで今月のコラムでは、ユニバーサルデザインについて取り上げてみたいと思います。また2007年10月19日号アンケートでは、皆様にユニバーサルデザインについてのお考えをお訊ねしていますので、コチラのアンケート結果もあわせてご参照下さい。
INDEX
1.ユニバーサルデザイン“7つの原則”
2.バリアフリーとユニバーサルデザイン
3.住まいとユニバーサルデザイン
4.ユニバーサルデザインの動向
ユニバーサルデザイン“7つの原則”
「ユニバーサルデザイン」という考え方は、ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンター所長であったロナルド・メイス氏(1941-1998年)が1980年代に提唱した考え方で、以下の7つの原則で構成されています。
1. Equitable use 誰にでも公平に使えること(公平性)
2. Flexibility in use   使う上で自由度が高いこと(自由度)
3. Simple and intuitive   使い方が簡単で、すぐに分かること(単純性)
4. Perceptible information   必要な情報がすぐに理解できること(わかりやすさ)
5. Tolerance for error   うっかりミスや危険につながらないデザインであること
(安全性)
6. Low physical effort   無理な姿勢をとることなく、少ない力で楽に使えること
(持続性)
7. Size and space for approach and use   接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること(空間性)
ロナルド・メイス氏は、この原則を製品のみならず、都市や空間、建物などの生活環境や、コミュニケーションをはじめ、さまざまな場面に幅広く取り入れるよう訴えました。
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バリアフリーとユニバーサルデザイン
「ユニバーサルデザイン」の他に「バリアフリーデザイン」という言葉がありますが、しばしば「ユニバーサルデザイン」が「バリアフリーデザイン」と同義のように使われることがあります。
しかしその概念は異なり、「バリアフリーデザイン」が高齢者や障害者などが社会生活をする上で世の中にはもともと障壁(バリア)があることを前提とし、その障壁を取り除こうという考え方であるのに対し、「ユニバーサルデザイン」は「バリアフリーデザイン」を更に発展させ、例えば、骨折などによって歩行困難になるようなこともあるし、言葉の分からない海外では移動するのにも支障を来たすことがあるように、誰もが人生のさまざまな場面で何らかの障害をもつことがあることを前提に、障害の有無、年齢・性別、人種などに関わらず全ての人が利用しやすいよう、はじめから障壁がないようにデザインしようという考え方なのです。
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住まいとユニバーサルデザイン
では、住まいにおいてユニバーサルデザインはどのようになっているのでしょうか。
例えば分譲マンションでは、社会の動向がバリアフリーデザインからユニバーサルデザインへと発展したように、まず次のようなバリアフリーの考え方から広がってきました。
エントランスにスロープを設ける。
車椅子の方でも操作しやすい低い位置にもエレベーターのスイッチを設ける。
浴室の出入口や和室などの床段差をなくす。



バス手すり浴槽や廊下、玄関、トイレなどに手すりを設けたり、手すりを設置できるようあらかじめ下地を入れておく。
車椅子でも移動しやすいよう、廊下の幅を広くする。
ご年配の方やお子様でもまたぎやすい、高さの低い浴槽。
そして現在では、このようなバリアフリーだけでなく、
点灯する場所が大きめの文字で表示され、大きくて操作しやすいワイドスイッチ
機能が分かりやすく絵で描かれたり、大きめの文字で書かれ、ボタン自体も従来と比べて大きくなっている設備機器の操作スイッチ
子供などでも使いやすい高さ、あるいは子供などがイタズラしないように考慮した高さに設置されたコンセントやスイッチ
しゃがみ込んでフックを掛けなくても、立ったまま扉を固定できる ドアストッパー
楽な姿勢で浴槽のお湯を排水できる、ワンプッシュ排水栓
誰でも操作しやすいような高さ、角度を考慮して設置されたオートロック操作盤
簡単に開閉しやすい非接触キーやカードキー
ワイドスイッチ、ワンプッシュ排水栓
など、使いやすさや身体への負担の軽減、誤操作の軽減などが考慮されたユニバーサルデザインの設備機器や仕様を中心として広がりを見せはじめています。
しかし、住まいにおけるユニバーサルデザインは、障害者や高齢者にとって邪魔な段差をなくす、手すりをつけるといったバリアフリーデザインだけでなく、住まい全体の間取りや空間、設備、環境などを総合的に考え、そこに住む子供から大人までが年を経ても住みやすいデザインとしていくことが必要で、そのためには、そこに住む個人の嗜好や家族一人ひとりのライフスタイルなどまでを考慮に入れることが求められるため、一つの結論に導くことが難しいという一面があると思います。
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ユニバーサルデザインの動向
平成17年7月に国土交通省が策定した「ユニバーサルデザイン政策大綱」をはじめ、各自治体でも街づくりなどでユニバーサルデザインを積極的に採り入れたり普及に努めたりするなど行政の動向も活発化し、現在、私たちのまわりでは、公共施設や交通機関などをはじめ多くのユニバーサルデザインのものを見ることができます。
車椅子の方だけでなく、赤ちゃんを連れた方などにも使い勝手の良い多目的トイレ
点字、レリーフ、音声案内などを備えた案内板
海外の方でも分かりやすいように絵文字(ピクトグラム)を使った表示板
点字で「おさけ」と表示された缶入りのアルコール飲料
洗髪中に目をあけなくてもリンスと区別できるように、シャンプーのボトル側面に付けられた凹凸
注ぎ口と区別できるように、注ぎ口の反対側に切り込みが付けられている紙パック入り飲料
表示文字の大きさを切り替えやすいようにホームページ上に設けられたボタンや、ホームページそのもののデザインも分かりやすく工夫する
このようにユニバーサルデザインは、製品や施設から、都市やサービス、システムなど多岐に亘って展開され、さまざまな場面でユニバーサルデザインと接する機会が増え、またそれと気付かない内に接していることもあると思います。
しかし、ユニバーサルデザインの社会を実現するためには、これらが相互に関連し補完し合うことも大切な要素と言え、またそれを普及、発展するためには、多種多様な参加者による定期的な評価を行い、その結果を反映させていく“スパイラルアップ”が重要であると前述のユニバーサルデザイン政策大綱でも述べられています。既に、実際に障害者の方や外国人旅行者などに定期的に評価をしてもらい、スパイラルアップしていくといった活動を行っている自治体もあるそうです。
国土交通省 「バリアフリー・ユニバーサルデザイン」ページ>>>

多くのユニバーサルデザインのものは、それと分かっていなくても便利になっていたり分かりやすくなっていたりするものが多いと思いますが、07年10月19日号アンケートではもっと積極的に情報を発信して欲しいというご意見も多く見られ、例えば前述のシャンプーに付けられている凹凸のように、知らなければせっかくのユニバーサルデザインが活きてこないというものもあるように思います。
ユニバーサルデザインを発展させていくためには、行政や企業だけでなく、そういった使う側の意見や評価が重要で、私たち自身も積極的に考えたり行動したりすることが大切なのだと思います。

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