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マンションの建替えについて
現在では、土地の高度利用の進展に伴い、マンションは都市部を中心に持家として定着し重要な居住形態となっています。その一方で、今後、建築されてから相当の年数を経て老朽化したマンションが増加することが予想され、居住者の住環境の低下のみならず、ひいては市街地環境の低下など、深刻な問題を引き起こす可能性があることが危惧されるようになってきました。しかし様々な人が区分所有するマンションでは、そのような問題の対処において区分所有者間の意思決定や権利や利用関係など、戸建住宅とは異なる難しさなどもあります。
このような状況を踏まえ、「都市の再生と良好な居住環境の確保を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するためには、適切な修繕等により既存ストックを有効に活用するとともにマンションの建替えの円滑化を図ることが重要である。」として、今からちょうど5年前にあたる平成14年12月18日、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が施行されました。
そこで今月のコラムでは、マンションの建替えについて取り上げてみたいと思います。
INDEX
1.法整備が行われた背景
2.「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」のポイント
3.建替え決議までの基本的な手順
4.建替え決議後の基本的な流れ
法整備が行われた背景
現在、全国には約500万戸のマンションがあります。特に東京、名古屋、大阪といった三大都市圏では、築30年以上のマンションが2011年には100万戸、2020年には200万戸、そして2028年には300万戸になると言われています。そのような築年数を重ねたマンションでは、建物自体の物理的劣化による寿命や機能的劣化といった問題だけでなく、特に昭和40年代頃に建設されたマンションでは、エレベーターが無いものや専有面積が50m2以下の狭い住戸も多く、また電気容量の不足やバリアフリー対策といった様々な社会的劣化といえる問題も生じると考えられています。
以前の老朽化したマンションの建替え事例では、マンションの建つ場所が住宅需要のある地域に立地し、かつ容積率に余裕があることが多く、住宅の需要を背景に余っている容積率を活用して分譲することで建替えの原資を得ることが可能なことから、民間事業者などの参画による等価交換方式が多くを占めていました。既存の居住者の金銭的負担が少ないこのような事例では、法律上は5分の4以上の賛成で成立する建替え決議も、実際には100%の合意を得やすく円滑に進められていました。
しかしこれから数多く出てくると予想される建替えが必要なマンションは、そのような好条件のものばかりとは限らないため、国としてもマンションの建替えを円滑に進めるための法整備が喫緊の課題となり、平成14年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が施行され、建替え事業を円滑に進める法的仕組みが整備されました。
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「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」のポイント
「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」には、大きく4点のポイントがあります。
1. 建替事業の主体として「マンション建替え組合」を設立することができ、法人格を持つことができる。
  マンション管理組合の総会で、「建替え決議」を可決することができ、定款と事業計画を決定し、都道府県知事による認可を得て、法人格としての「マンション建替組合」を設立することができます。法人格のため、銀行や建設会社などとの一括した交渉が可能になり、建替えを円滑に運ぶことが可能になりました。
2. 建替え決議後、権利変換計画に基づき、旧建築物に対する区分所有権、抵当権などの関係権利を新しい建物に円滑に移行できるようになった。
  従来は、もともとあった建物(旧建築物)を取り壊せば、その建築物にあったそれらに付随した権利は消滅していました。しかし権利変換という方式によって、旧マンションにあった所有権や抵当権といった権利が再建されたマンションについてくることになり、従来より円滑な権利の移行が可能となりました。
3. 建替えに参加しない区分所有者の権利を、建替組合が買取ることができるようになった。
  建替えに合意しない区分所有者の権利を、建替組合が時価で買い取ることができるようになりました。また、区分所有者としても時価で売り渡す請求ができるようになりました。
4. 権利変換に伴う登記を一括して申請することができる。
  建替えに伴い必要となる登記を一括して申請できる不動産登記法の特例措置のため、その手続きが簡素になりました。
以上のようなポイントから、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」ができる前に比べてずいぶん建替えを円滑に進められるようになりました。
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建替え決議までの基本的な手順
しかし、実際には年数を経たマンションだけに、最近住みはじめた人、もう転居しようかと考えていた人など様々な事情の人たちが居住しています。建替えを行うためにはこれらの人たちの合意が必要で、円滑な建替えには事前の意思形成が大変重要なものと言えます。
国土交通省では、マンション居住者で構成される管理組合や専門家の取り組みを支援するため、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づく「マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(平成14年12月、国土交通大臣策定)」に従い、平成15年1月「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」を発表しています。
国土交通省 「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」>>>
実際の建替えでは、例えば以下のような手順を経て建替え決議が行われます。
1. 有志による建替えの勉強会の発足
  建替えを研究・検討する組織です。建替えに関する基礎情報を収集し、建替えに関する基礎的検討を行います。検討結果は、マンションの理事会に逐次報告されます。
2. 勉強会から理事会、そして管理組合へ
  勉強会から理事会に諮り、管理組合に建替えを提起します。管理組合で議決されることで建替えについての正式検討へと進みます。
3. 管理組合に検討委員会を設置し、専門家を選定
  マンションの特性に応じてさまざまな区分所有者の構成による検討委員会を設置し、専門家への依頼内容を明確化し、専門家選定作業に入ります。
4. 建替えか修繕かの判断
  建替え構想を策定し、最終的に建替えか修繕改修か、それぞれの改善効果と費用を総合的に判断して決めます。
前述の合意形成マニュアルと同様に、このような判断を支援するため、国土交通省から「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」が発表されています。
  国土交通省「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」>>>
5. 建替え推進決議
  検討委員会による検討結果を理事会に提起し、管理組合総会で建替え推進決議を行い、建替え決議に向けた本格的な検討に入ります。
6. 管理組合における計画組織の設置
  管理組合に計画組織を設置し、設計の専門家や事業協力者としてのデベロッパーなどの専門家の選定を行います。また区分所有者にアンケートを行うなど計画策定を進めながら、周辺住民との同意形成や関係諸官庁との協議を行います。
7. 建替え決議
  「建物の区分所有等に関する法律」に基づき、少なくとも建替え決議を行う集会の2か月前までに集会の招集の通知を発し、かつ建替えの要否を検討するために必要な事項を通知します。またその集会の少なくとも1ヶ月前までに、集会の際に通知すべき事項に関する説明会を開催し、実際の集会において建替え決議を行います。決議は区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数によって議決されます。
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建替え決議後の基本的な流れ
このような手順を経て建替え決議が行われた後、以下のような手順で建替え作業が進められます。
1. マンション建替組合の設立
  建替えの事業主体として、都道府県知事の許可を得て法人格を有するマンション建替組合を設立します。
2. 権利変換計画の策定と認可
  現在の土地・建物の権利を新しい住まいに移行するための権利変換計画を策定し、建替組合での決議を経て、都道府県知事へ認可を申請します。
3. 建替え工事の実施〜入居
  建替え工事を実施し、工事完了後、建物の登記を一括処理し、新しいマンションでの生活がスタートします。新しいマンションでは、新たな管理規約が策定され、管理組合も新たに設立されます。
様々な人々が住むマンションでは、それぞれの年齢や家族構成の他、賃借人や法人の区分所有者が存在する場合もあるなど、事情も様々に異なります。みんなが納得いく建替えを実現するには、根気強く話し合いを重ね、手順を踏んで一歩ずつ確実に進めていくことが重要だと言えるでしょう。

マンションの建替えでは、建替え決議に向けた様々な検討や居住者の合意形成が大変重要なポイントとなります。
市街地再開発事業などの都市開発(まちづくり)を通じたコミュニティーづくりと、マンション分譲事業を通じた良好な住環境づくりの豊富な実績を背景に、当社においても、今後ますます顕在化するマンション老朽化問題に対応するため、新たにマンション建替え事業への取り組みを開始しました。
また当社ホームページにおいて、「マンション建替えに関するコラム」の連載も掲載しておりますので、下記の当社ホームページもご覧下さい。

当社HP 「マンション建替え事業」>>>
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